2018.04.19.「明ヶ田尾山コース」実施報告。
野に出でよ見わたすかぎり春の風 (辻 征夫)
百花繚乱で春たけなわです。が、その花の代表である「桜」はここしばらく
の気候の不安定さに起因して、開花からほどなく、散り始め、いつしか葉桜
に変わりつつあります。桜前線はもう、東北で梅前線に追いついているので
しょうか。「花の命」は短いとは言え、今年はことさら、その寂しさが募り
ます。ともあれ、春光はうららかで、吹く風も爽やかです。ヴィバルディの
「四季」の<春>はこの情景を美麗な旋律で描写しています。この曲を心に
奏でながら、野や山の<春>を楽しみたいものです。
♫ 道をはさんで 畠一面に
麦は穂が出る 菜は花盛り
眠る蝶々 とび立つひばり
吹くや春風 たもとも軽く
あちらこちらに 桑つむ乙女
日まし日ましに 春蚕も太る ♫
堀沢周安「田舎の四季」
本日も、のぞかな春の風景の中に身を置きたく、一般参加者9名、隊員10
名の総勢19名で、箕面の最奥端の<明ヶ田尾山>(標高619.9m)を
目指しました。
古道・中ノ坂道に咲く、ハナミズキ。
花水木夢の国かと思ひけり (木根渕 成子)
瀧道の<一の橋>を渡る。
♫ みどりのそよ風 いい日だね
遊びに行こうよ 丘越えて
あの子のおうちの 花畑
もうじき苺(いちご)が 摘めるとさ ♫
清水かつら「みどりのそよ風」
箕面公園・昆虫館前に咲く、サトサクラ。
花ひとひらふたひら君を忘れない (黛まどか)
龍安寺広場にて。準備体操。
しゃくしゃくとレタスのような歯触りの朝です
陽射しあふれています
(山上秋恵)
龍安寺広場に咲く、ハナミズキ。
高き風白く渡りぬ花水木 (稲畑汀子)
龍安寺境内の、山吹の花。
山吹は竹の四つ目垣の中にあるのだが、枝は垣の外まで伸びていた。誰か
がーー笠に挿すべき、とよんだとおり、しなやかにたわんだ枝々は雨に濡
れて,いっそう、重たげにみえた。若い浅緑の葉も弁の大きなひと重咲きの
花も雨に濡れてやはり重たげに、たわんでいた。
山本周五郎著「雨の山吹き」より
瀧道左岸<姫岩>前にて。
日は照る、
日は照る、
四月の日はほのおのむれのように
はてしなく大空のむなしさのなかに
みなぎりあふれています。
花は熱気にのぼせて、
うわごとを言います。
傘のように日のゆれる軟風はたちはだかり、
とびあがる光の槍をむかえます。
日は照る、
日は照る、
あらあらしく紺青の布をさいて、
らんまんと日は照りつづけます。
大手拓次「四月の日」
瀧道に咲く、シャガの花。
しずかなるしゃがひと群(むら)を雨うちて
午後の雲の果つる際を見つ
(宮 柊二)
瀧道を歩む。
心地よき若葉トンネル足軽し (岡村昭則)
府道43号線沿いにて、山ごみを回収されている参加者のみなさん。
同じく、山ごみ回収に余念がない、参加者のみなさん。
府道43号線沿いに咲く、ユキヤナギの花。
たっぷりと白い絵の具を含ませて
風の形を描く雪柳
(小林真希子)
<百年橋>にて。橋下の山ゴミを執念で回収されるMさんとYさん。
お二人で、何度も挑戦されました。
これを見ていた、熱血漢・H隊員が、<義を見てせざるは勇無きなり>と、
ロープつたいで下降しました。
橋下の、ゴミをすべて回収するH隊員。
*かくて、ここに、「男女共同参画社会」がいちはやく、実現致しました。
いつまでも
美しくあってほしい
私たちの箕面の山!
(箕面の山パトロール隊)
ビジターセンターの咲き残る、イカリソウ。
錨草切なきほどに海遠し (朝倉和江)
箕面川ダム湖より見上げた、カスミサクラ。
夕山の新芽にまじるさくらの花
明るみながくのこりゐるも
(木下利玄)
市道箕面五月山線沿いの、アケビの花。
白き鈴割れて紫花通草 (多田美州)
市道箕面五月山線の斜面下にて。本日のメインワークの山ゴミ
引き上げ作業です。K隊員の奮闘振りをご覧下さい。
落差30m下に降りました。
山ゴミの入った土嚢袋を引き上げています。
次に、不法投棄されたプラスチックケースの引き上げです。
H隊員が応援に駆けつけ、タイヤの引き上げ準備です。暑さで、背中に汗が
滲み始めました。
二本目のタイヤを引き上げるK隊員。
この現場力の凄さは比類無きものです。
気温24℃に上昇し、全身、汗だくです。
お疲れ様でした。
自然を守る!その信念は揺るぎなし!
引き上げました不法投棄物のすべてです。
<本日の全回収重量:約45kg>
不法投棄は犯罪です!
(箕面の山パトロール隊)
エキスポの森付近の、ウワミズサクラ。
俳人I隊員の一句。
大空にウワミズザクラ打ち上がり (篤老)
エキスポの森・芝生公園にて。ランチ・タイム。12:10。
春の野に鏡を置けば古き代の
馬の脚など映りておらん
(中川佐和子)
食後の、コーヒー。
やわらかな誰れが喫みさしし珈琲ぞ
紫の吐息ゆるくのぼれる
(北原白秋)
梅ヶ谷へ。
♫ 色は黒いが 気はやさしい
胸にファイトの 血が燃える
身にはボロ服まとえども
おいら蔵王の山男
ああ愉しき 我が心 ♫
作詞不詳「蔵王の山男」
梅ヶ谷付近の、躑躅。
つつじ燃ゆ土から色を吹き上げて (上野章子)
明ヶ田尾山へ。
谷あいの空は若葉に奪われて
ガラスの破片のごとき木漏れ陽
(中野朱玖子)
遂に、明ヶ田尾山・山頂に到達!PM1:45。みなさん、長途のハイキング、よく頑張りましたね!
お疲れさまでした。
<その西の里山が明ヶ田尾山だ。山名の成り立ちに興味を
そそられるが、アケガタオやアケタオよりもミョウガタオ
の方が読み方としては古いらしい。>
鈴田望著「続 北摂山物語」より
本日は季節外れの気温24℃の夏日の中でしたが、山中では風が優しく撫で、
小鳥は囀り、若葉が眩しく、快適なクリーンハイキングとなりました。サクラ
やツツジの満開の時期を逸しましたが、春の草花を観察し、コシアブラ採りを
楽しみ、狸や猿に出会えたのは僥倖でしたですね。約20kmの行程でしたが、
さほどの疲れも残らず、充実したものになりました。お疲れさまでした。
さて、地方紙「北國新聞」に、金沢在住の81歳の辻村美智さんの「桜吹雪」と
題する、心打つ、美しい投稿文が掲載されていましたので紹介します。<桜吹雪
に高揚するのは、初めて金沢に来た時を思い出すからです。私のふるさと北海道
の桜とは驚くほど違っていました。枝々に咲き誇る薄紅色の花は、豪華絢爛に見
えました。ひらひらと乱舞する花びらは、春風と合奏しているかのように、胸に
響きました。嫁ぐ日の複雑な感情が晴れるほど、清麗な光景でした。美しい桜吹
雪を堪能しましょうよ、と父母の気持ちに寄り添う事もせず、兼六園の桜に酔い
しれていました。父のさみしそうな顔が不思議でした。今思えば天真らんまんと
いうより、無知蒙昧な有様です。嫁に出す私を心配していたことでしょう。何し
ろ嫁ぐ日に、父母へ礼のあいさつもしませんでした。(中略)年を重ねると父母の
恩を思い胸が熱くなります。父母が旅立った年になりました。老いた私が空に向
かって手を振って歓喜しているのは、あの世への感謝と、桜吹雪の美しい調べを
聞いているのです。体中で、桜の賛歌を受け取っているのです。>
それでは、みなさん、また、五月にお逢いしましょう。
ご機嫌よう、さようなら。
コース担当者一同
(文責:森岡)
- 2018.04.20 Friday
- クリーンハイキング
- 13:11
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- by 箕面の山パトロール隊